フリーソフトウェアのライセンスの種類

ライセンス

インターネット上には様々なフリーソフトウェアや創作物が存在しますが、その多くはライセンスの下で配布されています。ここでは比較的一般的なライセンスを簡単に紹介したいと思います。

注意点として、あくまで簡単に説明したものであり、正確でない可能性があります。詳しいライセンスの内容やライセンスの原文は、説明の下にリンクを張ってあるので、そこからご覧ください。

GNU General Public License (GPL)

「派生プログラムも同じライセンスで配布する」というコピーレフトの考え方を適応しているライセンスです。日本語では「一般公衆利用承諾契約書」と訳されています。

このライセンスで承諾される点

  1. どんな目的でも、プログラムを自由に実行できる。
  2. プログラムを改変・修正し、自由に再頒布する事ができる。

このライセンスで遵守すべき条件

  1. プログラムを改変・修正し、第三者に再頒布する場合は改変個所を明記しなければならない。
    また、そのソースコードを漏れなく付け加えるか、最低3年間はソースコードの申し出に応じてソースコードを提供する旨の文書を付け加えなければならない。
    また、ソースコードを改変・修正していない二次頒布は出来ない。

    (つまり、既にGPLの下で頒布されているソフトウェアを、改変・修正無しで更に頒布する事はできないという事)

    ※ 注意点として、プログラムを改変・修正しても修正者のみの利用であればソースコードの開示は求められない。

    ※ GPLは著作権を規定するライセンスなので、著作権に効力は及ぶが商標権には効力が及ばない。つまり、独自パッチを組み込んだ同じ名前のソフトウェアとして公開するには商標権の権利者である開発元の許可が必要になる。

  2. GPL のソースコードを(一部でも)組み込んだ派生プログラムは
    再頒布する場合、全てのコードを GPL で公開しなければならない。

  3. 作者または著作権者は、ソフトウェアに関して何も責任を負わない (つまり無保証)。

GPL 原文 (英語)
version 2: http://www.gnu.org/licenses/old-licenses/gpl-2.0.html

version 3: http://www.gnu.org/licenses/gpl-3.0.html

GPL 原文の非公式日本語訳: http://www.opensource.jp/gpl/gpl.ja.html

非公式な各国語翻訳 – GNU プロジェクト – フリーソフトウェア財団 (FSF)
http://www.gnu.org/licenses/translations.ja.html

GNU Lesser General Public License (LGPL)

基本的にはGPLと同じですが、一部制限が緩くなっています。

GPLの場合、GPLで配布されているソースコードを(一部でも)組み込んだプログラムは、第三者に公開する際、同じGPLで公開しなければなりませんが、LGPLはDLL等のライブラリとして動的リンクで組み込んで使用する限り、LGPLとして公開しなくても構いません。

そのようなこともあって当初は「GNU Library General Public License」と呼ばれていました。

このライセンスが適用されたプログラムについては、その派生プログラムにも同じライセンスが適用されます。また、LGPLは実行可能なプログラムではなく、ソフトウェアライブラリに適用されます。

日本語では「劣等一般公衆利用承諾契約書」と訳されています。

このライセンスで承諾される点

  1. どんな目的でも、プログラムを自由に実行できる。
  2. プログラムを改変・修正し、自由に再頒布する事ができる。

このライセンスで遵守すべき条件

  1. プログラムを改変・修正し、再頒布する場合は改変個所を明記しなければならない。
    また、ソースコードを改変・修正していない二次頒布は出来ない。
  2. LGPL のソースコードを(一部でも)組み込んだ派生プログラムは
    再頒布する場合、動的リンクに限りそのプログラムを LGPL にしなくてよい。
    それ以外の場合、全て LGPL で公開しなければならない。
  3. 作者または著作権者は、ソフトウェアに関して何も責任を負わない(つまり無保証)。

LGPL 原文 (英語): http://www.gnu.org/licenses/old-licenses/lgpl-2.1.html

LGPL 利用承諾書原文の非公式日本語訳: http://www.opensource.jp/lesser/lgpl.ja.html

BSD License

リリース初期のBSDライセンスは、派生物の広告に初期開発者を表示する事(宣伝条項)が
条件として組み込まれていましたが現在では、この条項は削除されています。

この条項が無いものは「New BSD License (修正BSDライセンス)」もしくは「3-clause BSD License (三条項BSDライセンス)」と呼ばれており、一般的に「BSDライセンス」と言った場合、これらのライセンスを指します。

旧BSDライセンスを指す場合は、旧BSDライセンスや4-clause BSD License (四条項BSDライセンス)
と呼ばれ区別されます。

また、この他にも更にライセンスを緩くした「2-clause BSD License (二条項BSDライセンス)」があります。こちらは「簡易BSDライセンス (Simplified BSD License)」と呼ばれたり、FreeBSDで採用されているため「FreeBSDライセンス」とも呼ばれています。
2条項BSDライセンスが採用されているソフトウェアには、FreeBSD や nginx などが挙げられます。

このライセンスで承諾される点

  1. ソースコードを複製・改変して作った派生プログラムの
    ソースコードを公開せずに頒布できる。
    また、派生プログラムを派生元のプログラムと異なるライセンスで配布する事も可能。

このライセンスで遵守すべき条件

  1. 「ソースコード及びバイナリの無保証」「著作権表示」「ライセンス条文」の三点を記載しなければならない。

The 2-Clause BSD License 原文 (英語): http://opensource.org/licenses/bsd-license.php

The 3-Clause BSD License | Open Source Initiative (英語): http://opensource.org/licenses/BSD-3-Clause

2条項BSD License 原文の非公式日本語訳: https://licenses.opensource.jp/BSD-2-Clause/BSD-2-Clause.html

3条項BSD License 原文の非公式日本語訳: https://licenses.opensource.jp/BSD-3-Clause/BSD-3-Clause.html

Apache License

代表的な Web サーバソフトウェアである Apache の為に作られたライセンス。
BSDスタイルライセンス1つで、ライセンス内容も基本的にBSDライセンスと同じですが
「原著作者への謝辞の表示を必要とする」といった条項が追加されています。

また、バージョン 1.0、1.1 では「Apache Software License」となっていましたが、バージョン 2.0 からは「Apache License」となっています。

Apache License, Version 2.0 (current) 利用承諾書原文 HTML ver (英語): http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0.html

Apache License, Version 2.0 (current) 利用承諾書原文 text ver (英語)
http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0.txt

Apache License 原文の非公式日本語訳: https://licenses.opensource.jp/Artistic-2.0/Artistic-2.0.html

PHP License

PHPプログラミング言語に対して用いられるライセンス。
Apache Software License をベースに作られたBSDスタイルライセンスの一つで、再配布は変更の有無に関係なくソースコードもしくはバイナリで以下の条件を満たす場合のみ認められています。

「著作権明記」「ライセンス条文」「免責事項」
「’PHP’という語句をどんな派生的成果物の名称にも含めない」
「どんな方法で再配布する場合でも、以下の表示を含まなければならない」

This product includes PHP, freely available from <http://www.php.net/>

PHP License 原文 (英語): http://www.php.net/license/3_01.txt

PHP License 原文の非公式日本語訳: https://licenses.opensource.jp/PHP-3.0/PHP-3.0.html

MIT License

マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)が起源のライセンス。
BSDライセンスをベースに作られたライセンス形態なので、基本的にはBSDライセンスと同じで、誰でも無償で使用して良いが、「著作権表示」及び「本許諾表示」をソフトウェアの全ての複製または重要な部分に記載しなければなりません。また、作者及び著作権者は、ソフトウェアに関して何も責任を負いません。

MIT License 原文 (英語): http://www.opensource.org/licenses/mit-license.html

MIT License 原文の非公式日本語訳: https://licenses.opensource.jp/MIT/MIT.html

GNU Free Documentation License (FDL)

GPLのようなコピーレフトライセンス。
GPLと異なる点は、GPLの考え方をプログラムソースだけでなく、文書や音楽などにも延長したものである点です。日本語では「フリー文書利用許諾契約書」と訳されています。

FDL 原文 (英語): http://www.gnu.org/licenses/fdl.html

FDL 原文の非公式日本語訳: http://www.opensource.jp/fdl/fdl.ja.html

Public Domain (PD)

No rights reserved とも呼ばれ、作品や創作物などの著作物の保護期間が終了して
知的財産権が消滅した状態や、明示的に破棄された状態のことを指します。

簡単に言うと、作品の知的財産権が無くなった状態で、日本語では「公有」と訳されています。

知的財産権が無くなった著作物は、誰でも自由に複製、展示、改変、再配布することができます。著作権フリーな作品である事を表示し、著作権が無い、あるいは著作権が無くなった作品に利用できるます。

C.C. (Creative Commons)では、PDを表すツールとして Public Domain Mark を提供しており
C.C.は、これをCC0と呼んでいます。

Creative Commons ― Public Domain Mark 1.0 (英語): http://creativecommons.org/publicdomain/mark/1.0/

Creative Commons ― Public Domain Mark 1.0 (日本語): https://creativecommons.org/publicdomain/mark/1.0/deed.ja

Public Domain Mark 入力フォーラム
(作品タイトルや著作者情報などライセンスに関する情報を入力して HTMLコードに反映)
http://creativecommons.org/choose/mark/details

コメント